らしくないけど
隣でチラチラと俺を見てくる高野が視界に入ってきて、ふと思ったことがポツリと口から溢れた。
「蓮くん、咲良って浴衣持ってねーの?」
『浴衣?』
「え、加地くん?」
「咲良そこにいる?」
チラリと隣を見れば、ポカンとした高野が俺をジッと見てて。
こいつが浴衣持ってないって言ったって、何かもう意地でも着てるとこ見たくなって。咲良なら持ってるんじゃないかって思ったら勝手に口から言葉が出てた。
『いるよ、代わろうか?』
「あー、うん」
そりゃいるよな。同棲してんだもんな。
だからって別に何思うわけでもないけど。本当に結婚するんだなってたまに思うだけで。
友達に結婚式に呼ばれんのが意外と初めてだから、何とも言えない気持ちになるのはきっと当日が来たらスッキリなくなんだろうな。