らしくないけど
「誰かさんが連絡先教えてあげないから遂に後輩からも加地くんの連絡先聞かれるようになったよ。すごいね、加地くんちょーモテ男」
「は?マジで?」
男友達には絶対俺の連絡先教えんなって言ってるし、女友達と言えばあいにく高野しかいない。そうなれば必然的にこいつに聞くしかなくなる。
…こいつ俺の連絡先知らないけど。
俺もこいつの連絡先知らねーもん。
「知らないって言ったら疑われてさ、困っちゃうよね。ほんとに知らないのに」
「…何かごめん」
「え、何急に」
「めんどくさいだろ。俺もたまに高野の連絡先聞かれることあるけど、すげーめんどくさいし」
高野の家に飲みに行くと言えば、俺も行きたい、なんて言う男が何人いるか。それも学習したからもう言わないけど。
少なくとも容姿が好きだって言ってるやつは来るべき場所じゃない。
酒の量にも引くと思うし、つまみに手料理なんて可愛らしいもんはまず出てこない。まず料理してるとこ見たことねー。
「じゃあまあ、お互いさまってことで」
「そうだな」
せめて手料理でも出すようになったら、少なくとも今の関係よりは色気出んじゃねーの。なんて思うけど、こいつにそれを求めるのは間違いだし。
わざわざ言ってもって感じだし。
そんな感じでまあ、今日はとりあえずつまみを買って行ってやろうと思う。