らしくないけど

『してないよー……ね、相手は?』

「…いやお前絶対ニヤニヤしてんだろ」

楽しそうな声を聞いてさすが女子だなって思う。

自分のことになると鈍感なくせに、人のことになるとこう興味津々なのは学生の時から変わってないみたいで安心する。

…ま、高野のことは知らねーし言わないけど。


「咲良の知らない人だって」

チラッと隣を見ればこいつもまた興味津々に俺を見てて、そういえばこいつもやたらと咲良のこと聞いてきてたなって。

『なーんだ、そっか。あ、上手くいったら紹介してね?』

「はいはい。で、浴衣貸してくれんの?」

『それはもちろん!明日渡すね』

「あー、じゃあ明日」


咲良が持ってた浴衣どんなんだっけって思い出すけど、一回だけしか見たことないし結構前のことだから記憶はあやふやだった。

「…何だよ」

「咲良ちゃんに借りれたの?」

「借りれた。着て来いよ?」

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