らしくないけど
花火なんかより


「あー、もしかしてあの子?」

「えっ、シロ見たことあるのっ?」

「待て待て待て、やめろ」

浴衣を持ってきた咲良は、待ってましたと言わんばかりに俺の隣に座って「どんな子なの?」なんで聞いてきた。

蓮くんが言ってた通り、久しぶりに集まったメンバーで楽しくワイワイやってる時だった。

思い出したように浴衣を取りに行った咲良に何となく嫌な予感がしたのは、こんな展開になることが予想出来てたからで。


「ほら、あのこの前の…」

「白城うるせぇ黙れ」

「口悪いな」

咲良と俺の会話を聞いてた白城がそれに加わったことで、高野の存在がジワジワ表に出てきた。

別に付き合ってるわけじゃねぇし。言うならちゃんとした関係になってからって勝手に思ってただけで。

そうなれる保証はどこにもないけど。
< 75 / 143 >

この作品をシェア

pagetop