らしくないけど
「花火一緒に行くの?」
「…行くけど」
「2人で?」
「……2人で」
「そっかぁ」
電話越しに見えた好奇心とはまた違った咲良の言葉に、何か分かんねぇけど、ちょっとだけ安心した気がした。
「良かった。加地くんのことちゃんと見てくれる女の子がいるんだね」
何でお前がそんなに安心してんの。
ちょっと…つーか、結構嬉しそうなのは何なの。
「……いやまあ、女の子って言えんのか分かんねぇけど。中身おっさんだし」
「え、待って何それ」
「超ガサツな干物女だし」
容姿に伴ってないその性格を、少なくとも俺は嫌いじゃないわけで。
あいつが咲良みたいに料理してたり、こんな風に、ふにゃ、って力が抜けるような笑顔を浮かべてたらきっと、俺すげー比べてたんじゃないかな。