らしくないけど

「モテんの、結構。中身おっさんだけどそんなの関係ないって感じのイケメンがさ、ライバルにいるんだけど」

そいつが持って行きそうなんだけど。

その展開はマジでいらねー。

「…その子は加地くんのことが好きだって言ってるんでしょ?」

「それでも上手くいく気がしねー」

「何それ、加地くんらしくない」

浴衣が入ってる紙袋を開いて、それを取り出した咲良は「可愛いでしょ?」なんて言って自分の体に合わせる。


「考えすぎだよ加地くん。加地くんはその子のことが好きで、その子も加地くんのことが好きなんだから」

…可愛いよ、咲良。

でも多分、同じ浴衣を着たところを見たら、今の俺は高野の方が可愛いって思うんじゃねぇかな。

らしくないけど、それが現実。
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