らしくないけど
給湯室の中身は
結局あの日高野の家に飲みに行って、俺が見たかったDVDを見た。当然手料理は出て来なかったけど。
さすがにすっぴんメガネで出迎えられるとは思ってなくて、思わず声が出た。
化粧とったからってそんなに変わるわけでもないし、もともと顔はいいから劣化したって意味じゃないけど。さすがにさ、あるだろ。
「おい、待ち受け」
「高野のすっぴんメガネ」
「許可してない」
「俺に晒しといて許可なんていらねーだろ」
「こっちは女子だぞ」
「どこら辺が女子だよ」
自分に女子力が大きく欠けていることは自分でも自覚してるだろ。
ただ、デスクの隅に置いてある俺が前にふざけて買った可愛らしい砂糖菓子が、ムカつくけど似合ってる気がして。
やっぱり黙ってりゃモテんのに。
と、改めて思う。
ここの会社にはまだ高野のこのガサツで干物な性格を甘く見てる男もいて、だからだろう。たまに告白された、なんて話を聞くのは。