らしくないけど
「加地?」
「…何」
「コーヒーでも飲む?」
「…飲む」
この状況が何なのか分かってない誠二は、多分最大限に気を使ってくれてんだろうけど。コーヒー飲んでも状況は変わらない。
まあちょっと落ち着くために飲むけど。
「俺、加地がそんなに悩んでんの初めて見たんだけど」
「悩むっつーか…」
給湯室で手際よくコーヒーを淹れる誠二。
そういえば高野並みに給湯室使ってんだっけ。
「…うま」
「は?コーヒーまずいとかある?」
「高野が淹れるコーヒーはまずいけど」
10回に1回成功、くらいの感じだからもう慣れたし美味しさは期待してなかったけど。
「……何、郁ちゃんのことで悩んでんの?」
「……は?」
鈍感なくせにこういうことは簡単に察してしまうことがある。たまにだけど、そのたまにが割とでかい。