恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


部長も昼間は見事に無愛想で、お客様からの電話のとき以外はいっさい笑わなかった。

昼休憩のチャイムが鳴ると、私はお弁当を入れた袋をデスクの上へ。その前にキーボードの上に汚れ避け用の布をかける。

異動後、疲れ切った私はお弁当を作る気力がなくなり、食堂へ行こうと思ったことがあった。

しかし、他の女子社員に続いてオフィスを出ようと思ったそのとき、思い切りドアを閉じられ、あやうく挟まれそうになった。

わざとかどうかは確かめようもない。けど、防衛のために、できるだけすりガラスルームの外には出ないようにしている。


「何それ、まずそっ」


パンを買って戻ってきた桑名さんが、私のお弁当をのぞきこみ、うなった。

うん、わかってる。

タッパーの中にブロッコリーをつめただけのこれが、美味しそうに見えるわけない。


「美容に気を遣ってるんだろ」


日下部長がマウスを扱う手を止めて言った。


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