恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「はいっ、笑って!」

「え、えへへ」

「眉を不自然に上げるな! マヌケ顔になるだろっ」


そんなあ。必死で作り笑顔してるのに。

日下部長のウソつき。

私の笑顔なんて、何の威力もないよ。

ふと日下部長を見ると、微妙に肩を震わせていた。顔はうつむき加減で、拳で口を隠すようにして……。

あいつ、笑ってるじゃん!

ひどい。こっちは真剣にやってるのに。そりゃあへたくそだけど、あんなに笑わなくても。

気がつけば、どっかりと椅子に座って見ている副社長も、販促部長も笑っていた。


「なによぅ……」


笑われて悔しいのに、みんなの笑いをこらえている顔を見ていたら、それが伝染してきた。

はは、変なの。私だけ、めっちゃ真剣なのに叱られてる。


「それ、それだよ。自然に笑って!」


私は販促部長にフォーカスを当てることに決めた。

なんなの、あのお腹。笑いを堪えて、めっちゃ揺れてる。めっちゃ揺れてる……。


「いいねいいね」


いつの間にか風が吹いていて、ちょっとだけ巻かれた髪が揺れる。

私はそのまま、販促部長のファニーな姿を眺めてにこにこし続けた。


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