恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「カット! お疲れ様でしたー」


何度も髪やメイクを直され、最後にポスター用の写真を何枚か撮り、やっと解放されたときには、もう足が棒きれみたいになっていた。


「はあ~」


よろよろとその場に座り込むと、すっと私の前に影が差す。見上げると、そこには副社長が。


「はわ!」


慌てて立ち上がったけど、足がじんじんしびれていて、結局同じ場所に転んだ。


「大丈夫? 無理をしないで。とても可愛かったよ」

「め、滅相もない! です!」


奇跡の一瞬を撮るために、何時間かかったのか。ほんと、スタッフの皆様に申し訳ない。


「はは。出来上がりを楽しみにしてる。商品の売上もね」


副社長は私を無理やり立ち上がらせることなく、さっさとその場をあとにした。

結局一日見学してたけど、あの人実は暇なのかな……。


「あいつ、実は暇なのか」


同じことを思ったのか、忌々し気に副社長の背中をにらみつけながら、日下部長が近づいてきた。


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