恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「いや~、良かったよ~。可愛かったよ~」


販促部長もはあはあ言いながらこちらに来てくれた。

ありがとうございます、あなたのおかげです。

私は心の中で、販促部長に手を合わせて拝んだ。


「すぐ編集して、2週間後には放送が始まるから」

「えっ、そんなにすぐですか?」

「当たり前だろ、春夏用商品だぞ。それでも遅いくらいだ」


なるほど。今は四月中旬にさしかかったところだけど、既に夏用ファンデーションのCMを見かけるものね。


「いつまで座ってるんだ。邪魔だから異動するぞ」


日下部長に言われて気づけば、周りのセットは着々と撤去されている。

かぼちゃの馬車も、ブルースクリーンもすでにない。

スタッフが、私の座っているシートを早く片づけたそうにじっと見ている。


「ご、ごめんなさい」


私は慣れないヒールを脱いで立ち上がった。踵には、見るも無残な靴擦れが。

おばあちゃんのようによたよたしながら戻った控室で、ドレスを脱ぐ。

撮影用のメイクを落とし、簡単にやり直してもらうと、やっと普段の地味な服との釣り合いがとれてきた。


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