恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「そうだ、これありがとうございます。ビックリしちゃいました」


車が発車してから、本来なら今日一番に言わなければならなかったことを思い出した。

もちろんメールではすでにお礼を言っておいたけど、直接言えたのは今日が初めて。


「似合ってる」


一成はちらとこちらを見て微笑むと、すぐ前を向いてしまった。

運転中だから当たり前だけど、それにしても口角がいつもより下がっているような……?

仕事のときは無愛想だけど、二人きりのときはもうちょっと笑っていることが多いのに。

この前も感じたけど、最近の一成は表情に疲労みたいな影が見え隠れする。


「あの、それで、今日はどこへ行くんでしょうか?」


微妙に重い空気の中、相手の表情をうかがう。


「ああ……実は、あるブランドのパーティーに招待されていて。そこに行こうと思う」


よく聞いてみると、それは誰もが知っている世界的に有名なジュエリーブランドだった。


「ええっ」

「大丈夫。平服で良い楽な集まりだ。気にいるモノがあるといいな」


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