恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


気楽なって、そんなわけないでしょう。そんなブランドのパーティーなんて、当然ながら行ったことがない。どう振舞えばいいのか、さっぱりわからない。

気に入るモノが……ってことは、新作お披露目&即売会みたいなものだろうか。

もし気に入ったとしても、今日買う決心なんてつかないよ。とはいえ、まさか一成にねだって買ってもらう度胸もない。


「あの……それって、強制参加なんですか?」

「ん?」


赤信号で、一成がこちらを向く。


「別に、そんなことはないが」

「じゃあ、別のプランに変更しませんか?」

「……嫌なのか?」


一成の口角がますます下がっていく。


「嫌じゃないですけど、一成疲れているみたいだから」


そう言うと、彼は少しだけ目を大きく開ける。


「疲れているのに、人の多い場所に行くと、もっと疲れませんか」

「それはそうだが……お前はそれでもいいのか?」


信号が青に変わり、一成は前を向く。


「私はいいですよ」


むしろ、庶民的なデートの方がありがたい。

華やかな場所も一成となら怖くはないし、ちょっぴり憧れはある。けど、せめて数日前には教えてほしい。心の準備がいるから。


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