恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「わかり、ました……」
誰からの電話だったのと聞けない自分が情けない。
こんなときにしつこくしたら、嫌われてしまう気がして。
「ひとりで帰れます。どうぞ、行ってください」
繋ごうとしていた手を引っ込め、ぐっと拳を握る。
こんなとき、知美ならどうするんだろう。
やっぱり怒るんだろうか。それとも、好きな相手なら笑って許してしまうのだろうか。
私は、とてもじゃないけど笑えない。
だって、もっと一緒にいたかったんだもの。
行かないでなんてワガママは言わないから、笑えない私を許して。
「姫……」
低い声が聞こえる。けれど、うつむいてしまった私には、草の上の彼の影しか見えない。