恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「もし良ければ、一緒に来てくれないか」
拳を握っていた手を、そっと包まれる。
ゆっくり見上げると、笑顔の消えた表情で、一成がまっすぐこちらを見つめていた。
まるで、何かを懇願するように。
「行っていいんですか? あ、でもどこへ……」
「それは車の中で説明する」
ぐいと、繋がれた手を引かれた。
どこへ行くのかもわからなかったけど、私はその手をふりほどくことができなかった。
誰からの電話だったのか、今からどこへ行くのか。
知りたいけど、知るのが怖いような不思議な気持ち。
私はきっと、今まで知らなかった彼の領域に踏み込もうとしている。そんな気がした。