恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
魔法を解かないで
知美の厳しい追及から逃れ、自宅でひといき。
めまぐるしい一日だった……。
何度もスマホを見るけど、一成からの連絡はない。
仕方なくお風呂に入って、スキンケアをして、眠れなくてもとりあえずベッドに入ろうかなと思っていたとき。
──ブーッ、ブーッ
スマホが鳴って、驚きで飛び上がりそうになった。
ディスプレイには一成の名前が表示されている。
一気に緊張して汗ばむ指で、画面をスワイプした。
「はい、白鳥です……」
名乗ると、一拍遅れてあちらから低い声が聞こえてくる。
『俺だけど』
ごくりと唾を飲み込む。すると、それを待っていたように一成が話しだした。
『さっきはごめん。話があるんだ。今から会えないか』
「今から?」
時計を見ると、既に二十三時を回ろうとしている。
今から着替えてメイクをし直して……だと、かなり遅くなってしまう。
でも、会いたい。
「今どこにいるんですか?」
終電って何時だっけ?
部屋のなかで立ち上がり、壁かけ時計を見ると、ごほんという咳払いの音がスマホの向こうから聞こえてきた。