恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
そういえば、姫香……。
あんなところに置いてくるなんて、我ながらひどいことをしてしまったものだ。
けれど、こんなにイライラしている自分につき合わせたくはなかった。
コンビニでコーヒーを買い、車の中で時間をつぶす。
昼間に公園で飲んだのと同じ銘柄のコーヒーなのに、ひとりきりで飲むそれは酸味が強く、ただ苦いだけの別の飲み物に思えた。
少し早く指定された店に着くと、既に彼女は先に座って待っていた。
つい三か月前まで、想いを寄せていた女性、理沙だ。
彼女は姫香よりも少し短い、あごと同じ高さで切りそろえた黒髪を揺らし、こちらに微笑んだ。
『久しぶり。元気だった?』
その顔に暗さはなかった。けれど、やはりどこか哀愁を感じる。
『いったい何があってこうなったんだ』
『いやねえ、まずは食事を注文しましょうよ』
理沙はおっとりとそう言うと、こちらにメニューを見せてきた。
適当に料理を注文し、さっそく本題へ。