恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
兄より先に俺が理沙に告白していたなら、彼女を悲しませることはなかったかもしれない。
けれど俺は結局幼なじみの関係を壊したくなくて、それができなかった。
『結局彼は、私をものとしか見てなかったのよね。話もろくにしないのに、お父さんのお見舞いだけは毎日行ってくれって言うのよ。あれ、自分がお父さんに良く思われたいだけなのよ』
ヤケ気味にエビチリを口に突っ込む理沙は、目に涙をためていた。
水を差し出すと、ごくごくと料理と一緒に飲みほす。
『あの野郎……いい殺し屋を探しておく』
『ううん、お仕置きくらいで結構よ』
次の料理に手をだす理沙が痛々しくて、見ていられない。
あのクソ兄貴。こんなに理沙を傷つけるなんて……それでも人間か。
ただただ申し訳なくて、気づけばこんなことを口にしていた。
『なにか、俺にできることはないか』
すると理沙は箸を止め、こちらを見つめた。
『……一成は私のこと、好き?』