恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「……というわけだ」


話し終えた一成は、なんだかスッキリしたような顔をしていた。


「それだけ?」


一成がどうしてそれほど理沙さんに会いたかったのか、さっぱりわからない。

結局、別れの理由を聞いただけじゃない。


「それだけなんだ。とにかく、理沙から真実を聞きたかった」

「私はてっきり、副社長と別れた理沙さんを慰め、口説きに行ったものだと」


じっと見つめると、一成は眉を下げた。


「正直、俺も会ったらどうなるかわからないと、少しだけ思っていた。会えば、やっぱり好きだと思うかもしれないと。告白もできなかった、未消化の想いだったから」


正直すぎる発言に、大ショック。

口を開けて固まってしまうと、一成が手を伸ばし、私の頭の上のちょんまげをもてあそぶ。


「でも、会って気づいた。俺をあのとき突き動かしたのは兄への怒りと、理沙への親愛の情だったんだと。姫だって、友達が誰かに傷つけられたと知ったら、放っておけないだろう?」


……たしかに、友達が悲しんでいたらなんとかしてあげたいと思うかも。


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