恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「ありがとう」
コップの蓋につけられたストローでお茶を一口飲むと、社長は首元につけていたタオルを外した。
「今日はい……部長は、出張なんです」
「ほう」
「なので、今日は私だけで我慢してくださいね」
ベッド脇にあるイスに腰かけると、社長は笑った。
「我慢だなんてとんでもない。君が来てくれると嬉しいよ」
「本当ですか?」
「ああ。亡くなった妻に会えるような気がしてね。死んだ人間に似ているなんて言ったら、気分が悪いかな」
「いいえ、そんなことありません」
首を横に振ると、ドアがノックされた。
「どうぞ」
社長が返事をすると、戸が開いて二人の男の人がやってきた。
「社長、お体の具合はどうですか……ん、きみは?」
げっ。一成が嫌いな専務と、その息子。CM企画で落ちた方の、開発部の白衣の社員だ。
二人して眉の間にシワを寄せて、私をにらんでいる。
まるで“どうしてお前のような平社員がここにいるんだ”と言っているみたい。
「彼女は私の友人だ。彼女のおかげで、最近とても気分がいい」
社長が庇ってくれたので、下手な説明はしなくて済んだ。