恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「ちょ、ちょっと!」

「なんだ」

「桑名さんが来たらどうするんですか!」

「あいつは来ない。この二年、始業十分以前に来たためしがない」


そういえば、いつもぎりぎりだけど……他の社員は徐々にやってくるかもしれないじゃん。すりガラスでも、ぼんやり人影は見えるから、こんなことしていたらすぐバレるよ。


「離してください」

「会いたかったと言え」


こっ、この人は耳元で何を言っているのか……!


「もう!」


怒って手の甲をつねると、一成は小さく笑って体を離した。


「さて、二日間の報告を聞こうか」


自分の椅子に座り、パソコンを立ち上げる顔は、いつもの冷静な日下部長の顔だった。


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