恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
理沙さんの気持ちが、今ならわかる。
恋人関係が熟してないのに、結婚なんて。
彼は副社長と違って、私を愛してくれているはず。
だけど、こんなふうに、何かから逃げるように結婚するだなんて……。
「……一成は……本当に、このタイミングで結婚したいの……?」
理沙さんのことを知っているから、心に疑念ばかりが浮かんでしまう。
「もしかして一成は、私が副社長の秘書になるのが嫌なだけなんじゃない?」
副社長の私物になってしまいそうだから、慌てて取りかえそうとしているだけじゃないの?子供のおもちゃの取りあいと同じように。
そう尋ねると、一成はメガネの奥の目をハッと見開いた。
それを見て、恋焦がれていた胸の熱が、冷めていくのを感じた。
ほら……あなたが熱くなっているのは、私が愛しいからじゃない。副社長への対抗心を燃やしているだけ。