恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
出社してからも、不幸は続いた。
営業部に残してきた物は全て段ボールに入れて桑名さんが運んでくれていたので、私はそのまま副社長室に行けばいいだけだった。
しかし、その途中ですれ違う社員のほとんどに後ろ指を指されていることは明白だった。
通り過ぎてから、こそこそと私の悪口を言う声が聞かれた。
「勘違いもほどほどにしてほしいわよね」
「営業部の杉浦さんの方がよっぽど……ううん、あの子より綺麗な子なんて、社内に掃いて捨てるほどいるのに」
悲しいのは、一成がまるで”女を見る目がない男”扱いされていること。
私がもっと美人だったら、誰も文句は言わなかったのかな。
そんなことを考える自分にがっかりした。
少しだけ自分を好きになってきている気がしていたのに、また元通りの卑屈な私に戻っちゃったみたい。
そしてさらに悪かったのは、副社長室に着いてからだった。
「……なんですかコレ」
副社長の大きくて重厚感のあるデスクの横に、こじんまりとしたアンティーク調の机のセットが。まるで子供の学習机みたい。