恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
私がそういう女性だというの? 全然自覚がない。
昔からネガティブ思考のおかげで、周囲に疎まれているという感覚は十分にあったけど。
「これからの俺には、お前が必要だ」
副社長はじりじりと私を追いこむように近づいてくる。
「俺は必ず社長の座を手に入れてやる。お前に損はさせない。俺についてこい」
壁にはりついていた私の手を取り、副社長がそっとその手の甲に唇を落とした。
ぎゃあああああ!
なにこの人! いい歳こいて、手の甲にチューとか、気持ち悪い~!!
「嫌です、無理です!」
背中を虫が這うような不快感に耐えられず、手を振りほどいて服でぬぐう。
「ほう……拒絶するか。まあいい。それでこそ、攻略し甲斐があるというもの。さて、仕事に戻るか」
副社長はにやりと笑うとデスクに戻り、電話をかけ始めた。
誰が株を買えばこちらが何パーセント株券を保有することになるとかなんとか……株主総会の根回しの電話であることが、傍から聞いていてなんとなくわかる。