恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「え……っ」
背中にあり得ない衝撃を感じ、体のバランスが崩れる。
転ぶ、と思った時にはもう、足元にあったはずの階段が目の前にあった。
ぎゅっと目を瞑る。ダダダダと連続で体中に震動が走る。脳が揺さぶられ、気が遠くなる。
震動がやんで、体が止まったのだと思った時には、全身が痛かった。
あ……なんか、天国への階段が見えるような気がする……。
「ちょっと! 大丈夫!?」
階段を駆け上がってくる足音がする。
なんとか返事をしようとするのだけど、全身が痛くてなかなか起き上がれない。
「姫香じゃない! どうしたの、転んだの?」
薄く開けた目に映るのは、とっても綺麗な……。
「てんし……?」
「何言ってるの、頭打ったの?」
何度かまばたきをすると、視界がはっきりしてきた。
そこにいたのは、知美だった。天使なんてとんでもない。ひどい悪魔だ。
ぼーっとしていると、知美ははっと上を向いた。そして、私を置き去りにしたまま駆け出していく。