恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「待ちなさい!」
そんな声が響くと、足音が増える。そして、非常階段の入口のドアがバタンとしまる音が頭上でした。
「ちっ、逃げられた」
知美は舌打ちをすると、こっちへ戻ってきた。
「ねえ、医務室まで歩けそう?」
「う、ん……」
知美が背中や腕を支えてくれて、なんとか立ち上がる。
「気持ち悪くない?」
「それは大丈夫みたい……」
だけど、背中と腰が痛い……。右足もひねってしまったのか、一歩進むたびに痛みで顔が歪む。
知美の腕を借り、なんとか階段を降りて次の階の非常扉からエレベーターホールへ行き、乗り込む。
医務室に行くまですれ違った多くの社員に奇異の目で見られたけど、知美が隣にいてくれたおかげか、陰口を叩いたり、邪魔してくるような人はいなかった。