恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「突き落とされた?」


知美が大声を上げ、医務室の白衣のおじさん先生が顔をしかめた。


「うん。背中を押された」


うなずくと、知美が白い額にシワを寄せる。


「やっぱり、あの逃げたやつが犯人ね。足音だけで、姿も見えなかったけど」

「そりゃあ穏やかじゃないな」


先生が心配そうにベッドに横になる私を見下ろす。


「あんた、誰かに恨まれる覚えある?」


知美に聞かれて考えを巡らせるけど、そんな人物には心当たりがない。


「恨まれる覚えはない。けど、敵が多いという自覚はしてる」

「あの記事? たしかにあれはねー。女の敵作りすぎちゃったよね。さらに副社長に囲われてるって本当?」


やっぱり、知美もあの記事のことを知っているみたい。


「囲われてない。私がいたら、その部署の人間が仕事がしにくくなるから、隔離されているだけ」

「本当は、日下部長と副社長とどっちが好きなの?」

「日下部長に決まってるじゃない!」


< 244 / 286 >

この作品をシェア

pagetop