恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「突き落とされた?」
知美が大声を上げ、医務室の白衣のおじさん先生が顔をしかめた。
「うん。背中を押された」
うなずくと、知美が白い額にシワを寄せる。
「やっぱり、あの逃げたやつが犯人ね。足音だけで、姿も見えなかったけど」
「そりゃあ穏やかじゃないな」
先生が心配そうにベッドに横になる私を見下ろす。
「あんた、誰かに恨まれる覚えある?」
知美に聞かれて考えを巡らせるけど、そんな人物には心当たりがない。
「恨まれる覚えはない。けど、敵が多いという自覚はしてる」
「あの記事? たしかにあれはねー。女の敵作りすぎちゃったよね。さらに副社長に囲われてるって本当?」
やっぱり、知美もあの記事のことを知っているみたい。
「囲われてない。私がいたら、その部署の人間が仕事がしにくくなるから、隔離されているだけ」
「本当は、日下部長と副社長とどっちが好きなの?」
「日下部長に決まってるじゃない!」