恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
たしかにあのお見舞いのあと、副社長の車に乗ってしまったのは軽率だった。
けど、絶対に二股とか、気持ちが揺れたなんていうことはない。
大声を出すと、先生は恥ずかしそうな顔をして診察用のついたての奥に入っていってしまった。
「へーえ。日下部長と付き合ってるっていうのは本当なんだ」
じっと目をのぞきこんでくる知美。
「あっ……」
そう言えば、忘れてたけど知美は一成のことを狙ってたんだっけ。
「ごめん……どう切りだしていいかわからなくて」
こんな風に知られるくらいなら、あの夜、焼き鳥屋で正直に白状しちゃえば良かった。
「別に、謝る必要ないでしょ。あんたは目の前にチャンスがあったからつかんだだけ。それの何が悪いの?」
「だって……」
「日下部長のステイタスと容姿は魅力的だったわよ。でも、別にすごく好きなわけじゃななかったから、ショックを受けてもないし、怒ってもない。びっくりはしたけどね。社内恋愛だとは思ってたけど、まさか相手があの日下部長だったとは」