恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
そう強く願った瞬間。
──ゴウン。
頭上で大きな音がして、焼却炉の扉が開いた。
霞む目の前には、月光に照らされた二人の影が。
「姫、大丈夫か!?」
私は迷わず、夢中で差し伸べられた手をつかんだ。
低い声。大きな手。間違いない。
ぎゅっと抱きしめられた腕も、広い胸も、全部知ってる。
「一成……!」
彼は私の身体を強い力で引き寄せ、焼却炉から脱出させてくれた。
咳き込んだまま抱きついて離れない私の背を、大きな手がさすってくれる。
「こ、怖かった。死んじゃうかと思った……!」
やっと息が整ってきたら、安心して涙がこぼれた。
「ごめんな。遅れて本当にごめん」
一成はそう言うと、立っていられない私を、ひょいとお姫様抱っこした。
「あのさあ、俺に言うことはないわけ。電話で異常を察知したのも、ここまで運転してきたのも俺なんだけど」
そんな声が聞こえて、ちょっと顔を上げた。そこには、不満顔の副社長が。いつの間にいたの?