恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「家まで送っていこうか。嫌なら、駅まででも」
そう言いながら、助手席のドアを開けてくれる。
なにこのお姫様扱い。涙が出そう。
「部長、優しすぎます」
とくとくと、心臓が忙しく動く。
「もしかして、私に頼みたいこととか、交換条件で何かを要求する気じゃないですか?」
「は?」
まるで予想していない言葉を聞いたように、日下部長の目が丸くなる。
「優しくしてくれたと思ったひとに、よく言われるんです。女の子の友達を紹介してほしいって。私に近づく男性は、みんなそれが目当てで……」
早口で説明する途中で、言葉が途切れてしまった。
だって、日下部長の眉の間に、みるみるうちにシワが寄ってしまったから。
「俺は、欲しいものは自分で手に入れる。会ったばかりのお前にそんなことを頼むような男に見えるのか」
低い声が余計に低く響いた。
「ごめんなさい。そんなつもりじゃ」
怒らせちゃった。なんでそんな余計なことを言ってしまったんだろう。