恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「ただ、私の同期にものすごい美人がいて。みんな、その子ばっかり……」
情けなくて、涙が溢れそうになる。
「もういい。乗れ」
相変わらず怒っているようだったけど、部長は私を放り出すことなく、助手席に誘導してくれた。
のろのろと車に乗り込むと、日下部長はさっさと運転席に乗り、エンジンをかける。
「駅でいいな」
返事を聞きもせず、ハンドルを回す部長。
黙っていると、赤信号で止まったタイミングで日下部長が口を開いた。
「男のすべてが、美人を好きなわけじゃない。今度、好きな男ができたら、絶対さっきみたいなことを言わない方がいい。そいつがお前に好意を抱いていたとしても、確実に萎える」
そうだよね。もうわかってる。
どうしてあんなことを口走ってしまったのか、それだけが自分でもわからない。
黙りこくっていると、車は地下鉄の入口のすぐ近くについてしまった。
「ごちそうさまでした。ありがとうございました」
ハザードを出して停車する車から、降りようとすると。