恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「ただ、私の同期にものすごい美人がいて。みんな、その子ばっかり……」


情けなくて、涙が溢れそうになる。


「もういい。乗れ」


相変わらず怒っているようだったけど、部長は私を放り出すことなく、助手席に誘導してくれた。

のろのろと車に乗り込むと、日下部長はさっさと運転席に乗り、エンジンをかける。


「駅でいいな」


返事を聞きもせず、ハンドルを回す部長。

黙っていると、赤信号で止まったタイミングで日下部長が口を開いた。


「男のすべてが、美人を好きなわけじゃない。今度、好きな男ができたら、絶対さっきみたいなことを言わない方がいい。そいつがお前に好意を抱いていたとしても、確実に萎える」


そうだよね。もうわかってる。

どうしてあんなことを口走ってしまったのか、それだけが自分でもわからない。

黙りこくっていると、車は地下鉄の入口のすぐ近くについてしまった。


「ごちそうさまでした。ありがとうございました」


ハザードを出して停車する車から、降りようとすると。


< 47 / 286 >

この作品をシェア

pagetop