恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「もう少し自信を持て。お前は仕事ができるし、忍耐強さもある。見た目だって、決して悪くない」
運転席に座ったまま、日下部長が私の目を見つめて言った。
「自分が自分を認めていないから、他人もお前を大事にしてくれない」
「なんですか、それ」
「化粧品と一緒で、自信をもってすすめられる商品でないと、客は買ってくれない。そういうことだ」
そんなこと言われたって。
私はあなたみたいな御曹司とは違う。
顔も良くて、背も高くて、仕事もできて、家はお金持ちで……そんなあなたに、私の気持ちがわかるわけない。
小さい頃からずっと、あの知美と比べられて、バッキバキに折られた私の心なんて……。
「じゃあ、日下部長は私のこと、女として見られますか?」
助手席に座りなおし、ドアを閉める。
どうせ、今後こうして会うこともないんだから、言いたいことを言ってしまえ。
「私のこと、抱けますか?」
綺麗ごとなんて聞きたくないの。
淡い期待を抱くたび、私の心はより粉々に砕け散ってきた。