恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「何を言って……」
「大丈夫だと言うのなら、朝まで傍にいてください。そうしたら、私の自信になります。そうでないのなら、謝ってください。綺麗ごとを言ってごめんなさいと、謝ってください」
ただの反撃のつもりだった。
そして、日下部長のような自信を持った人が、頭を下げる瞬間を見たかった。
その姿を知美に重ねて、笑ってやりたい。
そんな、意地悪でくだらない、ちょっとした出来心だったのに。
「謝るつもりはない」
日下部長はハッキリと言い、ハザードランプを消した。
「行くぞ」
次の瞬間、車は急発進した。
シートベルトを外していた私は、がくんと揺れる。
「あ、あの、どこへ……」
もしかして、本気で怒らせてしまったのかも。
やばい。東京湾に沈められる。
あわあわしていると、日下部長は前を向いたまま言った。
「お前が言ったんだろ。抱いてやる。そのための場所にいく」
ちょ……。
待って。
嘘でしょ!?
今すぐ車から降ろしてほしかったけど、自分から言いだしてしまった手前、ただの冗談でしたなんて言えない。