恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
ラーメンを食べ終わり、杏仁豆腐のスプーンを取ったところで、既に完食していた佐伯くんが口を開いた。
「あのさ、今日は大事な話があって」
「えっ?」
えっ?だって。それを期待してきたくせに、下手な返事で返す。
「その……付き合いたいんだ」
やっぱり……!
産まれてこのかた男性に縁のなかった私に、とうとう春がやってきたのねっ!
体中が熱くなって、その熱で気球みたいに膨らんで、空まで舞い上がりそうになったそのとき。
「松浦知美さんと」
は……。
佐伯くんの口から出たのは、私の名前、白鳥姫香とはまったく別の名前だった。
「白鳥さん、松浦さんと幼なじみで仲が良いって聞いて」
「ぁ……えと……」
「これ、渡してくれないかな。彼女、飲み会でも電話番号もラインも教えてくれなかったんだ。だから、手紙を書いた。脈はないかもしれないけど、白鳥さんから一言、口添えしてくれれば……」
そうして彼がカバンから、水色とエメラルドグリーンの中間のような色の、有名なジュエリーショップの袋を差しだした。