恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
華麗なる?異動
ふと目を覚ます。
もともと日の光があまり入らないように作られているような薄暗い部屋の中では、今が何時か、さっぱりわからない。
体中にだるさを感じながら、隣で寝ている人……もちろん、日下部長を起こさないように、こっそりと起きて服を着る。
バッグの中からスマホを出して時間を見ると、午前五時。もう地下鉄が動き出す時間だ。
「って言うか、おかんメール多いな」
いつも夜遅くなる前に返ってくる私の無断外泊をよほど心配したのか、母から二ケタのメールと着信が残されていた。
早くここを出て、連絡しよう。
私はお財布から五千円札を取り出し、ドレッサーの上に置いた。
そう、記憶を無くしたりなんてしていない。私はハッキリ覚えている。
ここは、“そういうことをする”ホテルであり、私は昨夜、日下部長に抱かれたんだ。
緊張しすぎて、彼が何を言っていたとか、どんな手順を踏んだとか、そういう細かいことは覚えていないけれど。