恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「はいはい」


今日は遅く起きたから、お弁当を作ってこなかった。

結局外に出なければいけないし、ここで知美をまくのは難しいだろう。

諦めて財布をつかみ、オフィスの外に出る。


「どこに行くの?」

「あまり人がいないところ。近くの公園がいいかも」


ははあ……やっぱり、土曜に言っていた、日下部長の情報を聞きだすつもりだな。

日曜にも電話がかかってきていたけど、気づかないふりして今までスルーしてきたのに。

私たちは公園の近くにあるカフェの前で売っているお弁当を買い、並んで道を歩いた。


「桜が咲き始めてる」


頭上を見ると、公園の桜がほころんでいた。


「そんなのいいから。ほら、ここ座って」


知美はいつの間にか、何歩か先にあるベンチに座っていた。


「で、日下部長と話はできた?」


私が座るか座らないかのタイミングで、知美は話を切りだす。


「先にご飯食べさせて」


こっちは、説明会のアンケートをまとめて、次の選考の準備をしなきゃならない。

かぱっとロコモコ丼弁当の蓋を開けると、知美が大げさなため息をついた。


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