恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「ほんと姫香は色気がないよね~。友達の恋の相談より、お弁当が大事かね」


そう言い、仕方なさそうに自分のカツサンドを広げる。

当たり前じゃない。友達っつったって、本当の仲良しじゃないんだから。


「趣味は一人旅、彼女はいないって」


一口目を飲み込んだタイミングで、一応報告する。


「それだけ?」


やっぱり。言われると思った。


「専務のことは嫌いみたい」


これは、日下部長が自分で言ってた。


「それで?」

「……終わり」

「はあ?」


はあ? って言われても。そんな、般若みたいな顔をされても。


「だって私、説明会で忙しかったんだもの。正直、初対面に近い部長とそれだけ話しただけでも、私的にはよくやったと思うんだけど」

「ダメねえ。説明会のあとに、ご飯に誘いなさいよ」


びくっと肩が震えてしまった。

いや、ご飯はあっちから誘ってくれて、私はもっとえげつないところに誘ってしまったんだけど……。

そんなこと、口が裂けても言えない。


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