恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「なに? 急に黙って。何かあったの?」
何かあったなんてレベルじゃない。
「何も」
私は動揺を隠すように、お弁当をもくもくと口に運んだ。
「まあいっか。もう少し先の話だけど、日下部長とちょっと面白い仕事ができそうなの」
「面白い仕事? 普通の営業じゃないってこと?」
一緒に買ったカフェラテを飲んで息を落ち着けると、知美はふふんと、意地の悪い笑顔を浮かべた。
「おっと、これはまだ内緒なんだった」
絶対、わざとだ。
私が悔しがって身悶えて、「なになに、教えてよう~」とすがるのを待ってるんだ。
「あっそ。営業部は人事と違って、いつも華やかでうらやましいこと」
つんと口を尖らせると、知美は拍子抜けしたような顔をした。
「知りたくないの?」
「内緒なんでしょ?」
「頼めば、教えてあげなくもないけど」
「別にいい。営業部と関わる気は、いっさいないから」