恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
そんな彼の言葉が針となって心臓にぶっ刺さり、期待で膨らんだ胸から空気が抜け、ぶしゅうとしぼんでいく気がした。
やっぱりか。
やっぱり私に声をかけてくる男は、知美が目当てなんだ。
お前もかっ、佐伯!
松浦知美はたしかに私の幼なじみで同期。
営業部で活躍する、顔も頭も人並み外れて良くて、人間関係も要領よく渡り歩いている、心の底から憎らしい女だ。
全てが平均点の私は、小さい頃からずっと知美と比べられてきたし、こうして男の子に知美との橋渡しを頼まれることも多かった。
頭の良い知美とは高校と大学が別れてほっとしていたのに、今勤めている化粧品会社の入社試験で再会。
あのときの絶望は忘れられない。
結局私が希望していた営業部に配属されたのは知美で、私はひとり、人事部に放り込まれた。それからもう三年が経つ。
「うん、わかった……。渡せばいいんだね。佐伯くんは良い人だよって、すすめておく」
かなりしょんぼりしているのに、そんなお人好しなセリフを吐いてしまう自分が嫌いだ。
「ありがとう! 白鳥さんって、良い人だね!」
うう。笑顔がまぶしすぎて目にしみる。涙が出そう。