恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「どこに行くんですか?」
「すぐに着く」
部長の言葉通り、目的地は意外に近かった。
エレベーターホールを突っ切り、角を曲がり、その突き当りにその部屋はあった。
「倉庫?」
部屋の前のプレートには、そう書いてある。
ここも社員以外は入れないことになっており、部長はICチップ入りの社員証を、入り口のモニターにかざす。
するとドアが自動に開いた。
「お前、基礎化粧品は何を使っている?」
天井までつきそうな高い棚が部屋を覆い、その中にはうちの商品がずらりと並んでいた。
もちろん、ここから商品を発送するわけじゃない。サンプルとして置いてあるものだろう。
「もちろん、自社製品です」
これでも化粧品会社の社員の端くれ。他社製品は使っていません。
私は自分が使っているラインの基礎化粧品を見つけて指さす。
「それは若すぎるだろ」
宣伝で『二十代の女の子の肌に!』と謳っている化粧品なのに、部長はぼそっとそんなことを言う。私まだ、二十五なのに。