恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
疲れた日はオイルクレンジングして化粧水べちゃってつけて、そのまま寝たいのに。
「めんどくさいって顔するな。自分の顔を綺麗にできるのは、自分しかいないんだぞ」
ぷにっと頬をつままれる。
「い、いひゃいです」
若い頃のスキンケアが大事なんて、重々わかってるけどさ、そんなこと。
「どうせ、誰にも見られてないし~とか思ってるんだろ」
部長のふちなしメガネが光る。
ぎくり。それ、私良く言ってるかも。どうせ彼氏がいるわけじゃないし、誰も見ていないって……。
「これから全国の視聴者にその顔をさらすことになるんだからな。撮影は一週間後。それまでに気合とできる限りの潤いを入れろ」
日下部長はどこから取りだしたのか、自社ブランドのロゴが入っている紙袋を差し出す。
「それですけど、部長。私、あのお話はお断りします」
私は両手いっぱいに抱えていた化粧品を、彼に向かって押し返そうとした。
けれど部長はそれを受け取るどころか、メガネの向こうの目を凶暴に細めて私をにらむ。