冷たいキミの溺愛
「ていうか、"愛しのこうちゃん" に教えて貰えばいいじゃない」
さも当たり前のように葵は言うけれど…。
「…それが出来たら葵になんて頼んでません」
「なんてとは失礼な」
葵はわかっていないんだ。こうちゃんに勉強を教えて貰うというのがどういうことか!!!
『教えてやってもいいけど、その代わりお前、1ヶ月俺の部屋立ち入り禁止な』
中学の時のこうちゃんの言葉を思い出して私は身震いするしかない。
こうちゃんが私に勉強を教えてくれる時、決まって後から何かしらのペナルティーを付けるんだ。
『瑠璃のバカが移る代償だ』なんて言って。
わかる?
こうちゃんの部屋に行けないってことは、毎朝眺めてるあの寝起きのこうちゃんが見られないってことなんだよ ⁉︎
「無理無理!1ヶ月もそんな仕打ち耐えられない!あの寝起きの鋭い眼差しが見れないなんてぜーったいにイヤっ!!」
私の楽しみを奪うくらいならテストでオール赤点取った方がよっぽどマシだ!
叫びに叫びまくっていた私を葵が引いた目で見ていたその時、
ーーーーバシッ
「イデッ!」
何者かに後ろからノートのようなもので頭を思いっきり叩かれた。