冷たいキミの溺愛


...あれ。


「...夢だったのかもしれない」

「え?夢?」


いや、冗談抜きで。
夢だったのかもしれない。



今日の朝もいつも通りこうちゃんを起こしに行ったけど、案の定「うざい黙れキモい」の一点張りで。


その時はこうちゃんの寝起きの匂いと袖から見えるたまらない筋肉に、ハフハフしてて気づかなかったけど。


さっきだって、手を繋ごうとこうちゃんの右手に手を伸ばしても、パッとポケットに手を入れられて私の手がものすごく可哀想なことになってたし。


どうしよう。
昨日の出来事はいままで散々繰り広げられてきた私の妄想だったってこと...?!

あ、ありえる。


「いやーー!!やだやだやだあー!
こうちゃーーーん!」

「ちょっと!びっくりしたわ!!」


私の急な叫びにビクッと肩を揺らす葵。

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