嫌い、のち好き、のち愛

「泣いてるのに気付いた時、綺麗だな……って、思ったんです。男の人が泣いてるのなんて初めて見たんですけど、綺麗で見とれちゃって。でも、泣いてるの人に見られるの嫌だろうなって、思ったのと。私が、他の人に見られたくないって思ったので、それで隠しちゃいました」


き、綺麗とか。なんか照れるけど、でもあの時……。


「でもあの後、真咲ちゃん俺のこと無視して逃げようとしたよね？」


そう聞くとああ、と真咲ちゃんが苦笑いする。


「泣いてる人が村上さんだと思わなくて。正直、話しかけられた時はこの人だったのかと綺麗だと思った自分をなじりたい気持ちでした」


はっきり言われて結構へこむけど、まあしょうがないか。


俺、嫌われてたんだし。