嫌い、のち好き、のち愛

俺が微妙な気持ちでいると、急に真咲ちゃんが身震いした。


「ど、どうしたの?」


「いえ、村上さんに駐車場で拉致されたことを思い出しまして」


ああ、ヘビのこと思い出しての身震いね。


それに拉致って……。


「私もさすがに何とも思ってない相手と添い寝はしないので……やっぱり村上さんのこと気にはなってたんだと思います。一緒にお食事して、噂みたいな人じゃないと分かったので。やっぱり気になってたのかもしれませんね」


自覚はありませんでしたけど、と真咲ちゃんが笑う。


「あんなアザまでつけちゃったのに、全然ひかなかったの?」


「ひきませんでしたよ。助けてあげたいなんて、そんなおこがましいことは思いませんでしたが……あの気持ちはなんなんでしょうね」


そう言って真咲ちゃんが胸を押さえる。


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