嫌い、のち好き、のち愛
「あの、なんで腕掴むんですか」
「真咲ちゃんが無視するから?今、帰り?なら飯行かない?」
誤解を解くチャンスなうえに、うまくやれば抱きたくもない女を抱かなくてすむかもしれない。
やっぱり睡眠不足で頭が回ってないらしい。
そんな安易な考えをして真咲ちゃんにそう言うけど……。
もちろん俺の諸々の事情を知らない真咲ちゃんが頷くはずもなく。
「行きません。それに仕事が残っているのを思い出しました」
そう言って会社に戻ろうとする彼女を俺は必死で止める。
「待って、待って。それ嘘でしょ」
そう言って真咲ちゃんを宥めていると、駐車場の草むらがガサガサッと音をたてる。
真咲ちゃんの身体がビクッと震える。