嫌い、のち好き、のち愛
そして草むらからひょこっと顔を出したのは、一匹のヘビ。
「あ、ヘビだ」
「え!?」
俺がそう言うと真咲ちゃんは俺の背中に隠れて、服をつかんだ。
あんなに俺を嫌って避けていた真咲ちゃんの予想外の行動に驚く。
「え、何、怖いの?」
俺がそう言うと真咲ちゃんはほとんど俺の背中にすがりつくような体勢で頷く。
「ま、まだいます?」
「いる。あ、こっち来た。俺の車行こう、安全だからね」
嘘だけど。
もう逃げちゃったし。
だけどまだガサガサいってるから真咲ちゃんはそれを聞いて信じてるんだろう。
こんな好機、逃すわけにはいかない。
よほど怖いのか、真咲ちゃんは素直に俺についてきて車にも乗ってくれる。