嫌い、のち好き、のち愛

「ま、まだそのへんにいます?」


見たくもないのか顔を覆ったままそう言う真咲ちゃんがかわいい。


「うん、いるね。待ってて車出すから」


そう言ってエンジンをかけて車を走らせる。


「もう大丈夫だよ」


そう声をかけると、真咲ちゃんはかなり恐る恐るという表情で手を顔から離した。


「シートベルトしてね」


そう言うと、やっと冷静になったのかはっとしていつもの真面目な顔で俺を見る。


「あ、あの……すいません。取り乱して、もう平気なので降ろしてもらえますか」


いや、降ろすわけないでしょ。こんな絶好のチャンスに。



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