嫌い、のち好き、のち愛

「何か食べたいものある?」


「え、ご飯食べに行くんですか?」


え、逆に違うの?


「話だけならどっか車停めてもらって聞いても……」


そう言われて笑ってしまう。


俺、どんだけ嫌われてんだ。


「奢るから、飯行こうよ。別に邪な気持ちはないからさ」


うわ、すごい疑いの目で見てる。


「ほんとに、話聞いてほしいだけだから」


「……分かりました」


しぶしぶという感じだけど、そう返事してくれてホッ息を吐く。


「で、食べたいのなんかある?」


「……定食がいいです」


意外な提案に、真っ先に浮かんだ店があるけど……ゆっくり話せる感じではないんだよな。


でも、まぁいいか。確か襖で仕切ってあるくらいだけど、個室もあったし。


せっかくだからおいしいもの食べさせてあげたい。


「了解、定食ね」


そう言ってその店に向かって車を走らせた。

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